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肩や肘が痛いのに、原因は首にある?理学療法士が解説する痛みの関係

20 時間前
読了時間: 5分

「肩が痛いから肩を揉む」「肘が痛いから肘をマッサージする」

このようなケアを続けているのに、なかなか痛みが改善しないことはありませんか?

実は、肩や肘の痛みを考えるうえで、見落としてはいけない部位があります。

それが首(頸椎)です。

もちろん、肩や肘の痛みがすべて首に原因があるわけではありません。しかし、首の状態が肩や肘の痛みに関係している場合があることは、医学的な研究でも報告されています。

今回は、理学療法士の視点から、首と肩・肘の痛みの関係について解説します。


1.首の問題が肩の痛みにつながることがある

首には、頭を支えるだけでなく、上肢につながる神経や、頭・首・肩の動きに関係するさまざまな組織があります。

そのため、頸椎や周辺組織に問題が生じると、首だけでなく肩や肩甲骨周辺に痛みが現れることがあります。

例えば、頸椎の神経根が刺激された場合、首の痛みだけでなく、肩や腕に痛みやしびれが生じることがあります。

また、頸椎由来の痛みは、必ずしも首そのものに強く現れるとは限りません。

そのため、肩に痛みがあるからといって、肩関節だけに原因があるとは限らないのです。

Katsuuraらのシステマティックレビューでは、頸椎と肩の疾患には症状の重複があり、頸椎の問題が肩の痛みに関係する場合があることが報告されています。

つまり、肩の痛みを評価する際には、肩関節だけでなく、頸椎の状態も確認することが重要です。


2.なかなか改善しない肘の痛みにも、首が関係する可能性がある

首と肩の関係はイメージしやすいかもしれません。

では、首と肘はどうでしょうか?

実は、肘の痛みについても、頸椎や胸椎の状態との関連を示した研究があります。

Berglundらの研究では、テニス肘などにみられる外側肘痛のある人と、健康な人を比較しています。

その結果、外側肘痛のある人では、健康な人と比べて、頸椎・胸椎領域の痛みや誘発テストの陽性所見が多く認められました。また、橈骨神経の神経ダイナミックテストにも違いがみられました。

この研究から分かるのは、肘の痛みがある人のなかには、肘以外にも頸椎や胸椎、神経に関連する問題を抱えている人がいるということです。

ただし、この研究は首が肘の痛みの原因であると証明したものではありません。

それでも、肘の痛みが長引いている場合には、肘だけでなく、首や神経の状態も含めて評価することが大切です。


3.では、首の筋肉の凝りは痛みに関係するのか?

ここで気になるのが、首の筋肉の凝りです。

首や肩の筋肉が硬くなっている人は少なくありません。

筋肉やその周辺組織から生じる痛みが、離れた部位に感じられることもあります。このような痛みは、関連痛と呼ばれます。

ただし、首の筋肉が硬いからといって、それが必ず肩や肘の痛みの原因になっているとは限りません。

筋肉の硬さは、痛みの結果として生じている可能性もあります。

また、肩や肘の局所的な組織に問題がある場合や、神経が関係している場合など、痛みの背景はさまざまです。

重要なのは、単に筋肉の硬さを確認することではなく、その筋肉や頸椎への介入によって、実際の症状がどのように変化するかを評価することです。

例えば、首を動かすことで肩や肘の痛みが変化する場合や、頸部周辺の評価によって普段の痛みが再現される場合には、首が症状に関与している可能性を考えます。

ただし、こうした反応だけで原因を断定することはできません。肩や肘の局所的な評価も必要です。


4.痛い場所だけをケアすればよいとは限らない

肩が痛ければ肩を、肘が痛ければ肘をケアする。

もちろん、痛みがある部位を評価し、適切に対応することは重要です。

しかし、痛みがある場所だけに注目していると、症状に関係する別の問題を見落としてしまう可能性があります。

例えば、肩の痛みに頸椎の問題が関係している場合、肩だけをケアしても十分な改善が得られないことがあります。

一方、肩の腱板障害や肘の腱付着部の障害など、局所の問題が主な原因である場合には、その病態に応じた対応が必要です。

大切なのは、最初から原因を決めつけることなく、身体全体の状態を評価することです。

首、肩、肘は、それぞれ独立しているように見えても、神経や運動機能などを通して関係しています。

だからこそ、痛みがある場所だけでなく、その周辺や関連する部位まで視野を広げることが大切なのです。


5.なかなか改善しない肩や肘の痛みでお悩みの方へ

肩や肘の痛みが長引いている場合、痛みがある部位だけでなく、首の動きや神経の状態なども確認することで、症状を理解する手がかりが得られることがあります。

ただし、首の筋肉を緩めれば、すべての肩や肘の痛みが改善するわけではありません。

大切なのは、身体の状態を丁寧に評価し、痛みの背景にある問題を見極めたうえで、適切なリハビリを行うことです。

「肩をケアしているのに、なかなか改善しない」「肘の痛みが長引いている」「何度も痛みを繰り返している」

このようなお悩みがある方は、痛みがある場所だけでなく、首やその周辺の状態にも目を向けてみてください。

痛みのある場所と、痛みの原因となっている場所は、必ずしも一致するとは限りません。

だからこそ、身体を部分的に捉えるのではなく、全体を評価することが重要なのです。



参考文献

  1. Katsuura Y, et al. Overlapping, Masquerading, and Causative Cervical Spine and Shoulder Pathology: A Systematic Review. Global Spine Journal. 2020;10(2):195–208.

  2. Berglund KM, Persson BH, Denison E. Prevalence of pain and dysfunction in the cervical and thoracic spine in persons with and without lateral elbow pain. Manual Therapy. 2008;13(4):295–299.

 
 
 

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